NPO法人 道普請人(みちぶしんびと)
CORE Community Road Empowerment
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活動のアイデアはどこから来たの?
京都大学木村 亮教授(本NPO法人理事長)が1993年にJICA専門家としてケニアに赴任して以来、工学者として開発途上国の人々の幸せに貢献するにはどのようなアプローチをとることができるだろうかと、考えてきました。その後10年間で15回にわたる現地訪問や活動を通してたどりついたアイデアが原点となっています。それは簡単な技術で人々を幸せにするということでした。土木の原点である「土」や「木」を素材として見直し、これらの有効利用と現地住民自身が実施できるよう工学者として技術力を発揮し新たな工法を提案します。また、開発フィールドワーカーとして現地住民への技術移転を通して彼ら自身が運用できる体制を構築します。このことが、彼らのやる気と自信を引き出すことになり、このことは現地の人々の大きな幸せにつながります。
木村 亮編:ミニ特集、素材を活かす、土木の原点を使った構造物、土木学会誌、Vol.89、No.1、p.51-61、2004.)

サハラ砂漠を自転車で横断
ジョモケニヤッタ農工大学
1期生の学生たちと
ジョモケニヤッタ農工大学
教え子達の主催するセミナー

「土」を素材として活かす「土のう」
「土のう」が大きな耐荷力を持つことは、名古屋工業大学、松岡元名誉教授の研究により理論的に明らかにされました(松岡 元:地盤工学の新しいアプローチ-構成式・試験方法・補強法-、京都大学学術出版会、2003.)。そして「土のう」が国内における建物基礎や舗装道路路盤への利用が進められており、これらの事例は前述の土木学会誌記事の「ミニ特集、素材を活かす、土木の原点を使った構造物」でも紹介されています。
私達は、農業国である開発途上国で特に農村部の農道の通行性を雨季でも確保できるようにするために、「土のう」を利用し道路を整備することを思いつきました。松岡元名誉教授へもコンセプトを説明し、独自にタイヤ荷重を直接受けるような道路へ「土のう」を適用し整備する手法について開発を進めました(福林良典・木村 亮:開発途上国における貧困削減に向けた未舗装道路改修方法、土木学会論文集C、Vol.63、No.3、p.783-796、2007.)。
走行試験ヤード
走行実験の様子
沈下量計測状況

パプアニューギニアでの「土のう」を用いた住民による道直し
パプアニューギニア在住日本人主婦の現地の道を何とかしたい、という訴えに応える形でフィールドワークが始まりました(木村 亮:JSCE.jpから生まれた海外ボランティア、土木学会誌、土木学会、Vol.90、No.12、p.82-83、2005.)。2005年9月で第1回の活動を始めて以来2007年4月までの1年8ヶ月の期間で、6回現地を訪れ合計で約90日間活動を行いました。ここである国会議員をカウンターパートとし、また現地事務所を設置するに至りました。ケレナガ村で住民の道整備を通して、道直しから一年経過後も通行性が確保されている様子がわかりました(福林良典・木村 亮:パプアニューギニア農村部での「土のう」による住民参加型未舗装道路整備手法の適用、地盤工学ジャーナル、Vol.2、No.3、p.209-221、2007)。

「土のう」締固め状況
「竹パイプ」敷設状況
「土のう」敷設状況

世界共通語「Do-nou」を目指して
パプアニューギニアではボランティアベースでの活動を継続しながら、フィリピンでは大学連携、ケニアで技術協力プロジェクト、ウガンダでは青年海外協力隊への研修というように、世界各地で現地で最も有効であると考えられる技術移転の方法、住民へのアプローチ法を工夫し、活動を進めてきました。これらの活動内容は土木系の学会のみならず国際開発系の学会でも報告し、工学、社会科学、開発経済学など様々な分野の方からの助言をいただきながら活動を進めてきています。
                        これまで行ってきた学会発表等の一覧こちら

今後もこれらの地域での活動をフォローしつつ、新たなフィールドでで「土のう」による道直しを広めていきたいと考えています。